1.建設業許可制度とは
建設業を営む場合にあっては軽微な建設工事のみしか請け負わない事業者を除き、建設業の許可を受けなければならず、この制度を建設業許可制度といいます。
このように許可制度が設けられている趣旨は、発注者があらかじめ品質を管理できないこと、不適正な施工があったとしても完全に修復するのが困難であること、完成後に瑕疵の有無を確認することが困難であることなど、不備があった際には発注者が受ける損害が大きく、のみならず、社会経済上の影響が大きいことから、許可制度を設けて、適正に工事の施工がなされることを期待されています。
2.大臣許可と知事許可
大臣許可とは、建設業の許可は2以上の都道府県の区域に営業所を設けて営業しようとする場合に取得する許可です。
知事許可とは、1の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて(必ずしも1つの営業所でなくても良い)営業しようとする場合に取得する許可です。
3.特定建設業と一般建設業
特定建設業とは、発注者から直接請負う1件の建設工事)について、下請人(下請業者)に施工させる金額が税込4,000万円以上(建築一式工事にあっては税込6,000万円以上)となる場合に下請契約を締結して施工をしようとする者が必要となる許可です。
但し、下請人(下請業者)が孫請人(孫請業者)に税込4,000万円以上(建築一式にあっては税込6,000万円以上)を施工させる場合は特定建設業の許可は必要ありません。
特定建設業を取得するためには、財産的要件や専任技術者の資格要件が一般建設業よりも厳しくなっています。これはより大きな工事となることから、不備があった際にはその分損害も大きくなるために要件を加重することで不備が起きるリスクを減らすとともに発注者及び下請人保護を図るためです。
一般建設業とは、特定建設業の許可を受けようとする者以外の者が取得する許可です。
4.建設工事の種類と業種
土木一式工事と建築一式工事の二つの一式工事と他の27の専門工事があります。
一式工事の許可を受けていれば、関連する専門工事お請負は出来ると思われがちですが、専門工事だけを受けるのであれば専門工事についての許可の取得が必要となります。
例えば、建築工事業の許可を持っているA工務店が甲建物のインテリア工事をする場合は内装工事業の許可が必要となります。
5.業種別許可
建設業の許可は、特定建設業、一般建設業の区分ごとに、また、業種ごとに受ける必要があります。
したがって、2つ以上の業種の許可を受けることができる上、特定と一般の業種が混合していても構いません。例えば、特定の電気工事業と一般の電気通信工事業を取得することもできます。
ただし、同じ業種で特定と一般の双方を重複して取得することはできません。
6.許可の有効期間
建設業の許可の有効期間は許可取得日から5年です。
したがって、5年ごとに更新手続をしなければなりません。更新手続を怠れば許可は失効となります。この更新の申請は許可の有効期間満了日の30日前までにする必要があります。いつから更新の申請ができるかについては、自治体にもよりますが大阪府では満了日の3ヶ月前から受付されます。
6.軽微な建設工事
軽微な建設工事とは、建築一式工事の場合は税込1,500万円未満の工事又は延べ面積が150㎡に未満の木造住宅工事で、建築一式工事以外の場合は税込500万円未満の工事です。
軽微な建設工事しか行わない建設業者は建設業許可を取得する必要はありません。
しかしながら、近時は上位会社から二次、三次下請に入る場合は例えその工事金額が500万円に満たない場合であっても建設業許可を取得していないと下請に入れないという傾向が増えつつあります。