多数の株式会社が集まる大阪ビジネスパーク

1.人がひとりで何か事業を始める場合は、最初から法人を設立して行うことは少ないです。

初めは個人事業主として事業を行い、少し仕事が増えてきて従業員を雇い、事業が軌道に乗ってから法人を設立する(いわゆる、法人成り)というパターンが大半です。

では、なぜ、法人を設立するのでしょうか。言い換えると、個人事業主が、株式会社を設立して事業を行うことのメリットは何でしょうか。

対外的には信用性が高まると言われています。対内的には社員(従業員)の勤労意欲が向上すると言われています。他にも、有限責任(株主有限責任)や節税対策というメリットもありますが、法人成りの場合は、やや付随的なメリットに過ぎないかもしれません。

法人を設立すると、信用性が高まることにより、銀行等から資金調達が行いやすくなったり、取引の範囲が広がったりします。また、やる気に満ちた社員(従業員)と共に事業を行うことで、より前進・展開して大きな利益をもたらすことができます。もちろん、ここでいう利益とは、単に金銭的なもののみならず、各個人のやりがい充実感といった主観的なものも含まれます。

それでは、法人を設立するにはどうしたらよいでしょうか。

ここでは、株式会社の設立について説明をいたします。

2.株式会社を設立するには、簡単に言うと、

定款を作成し、

②公証人から定款の認証を受け、

③認証を受けた定款とその他必要書類を設立登記の申請として法務局に提出して、

④登記が完了すれば、

登記申請をした日をもって会社が設立されたことになります。

それでは、個別的に見ていきましょう。

3.株式会社を設立するにあたり、まずは定款を作成しなければなりません。定款とは、株式会社の組織と活動に関する根本原則のことです。

そして、定款を作成するには、目的、商号、本店所在地等の絶対的記載事項だけではなく、それ以外にも、1株の発行価格、株式譲渡制限の有無、取締役の任期、監査役の設置の有無、営業年度等まで決めた方が良いです。

この中で、目的は、事業を行う上で許認可を申請する際(例えば、建設業の許可申請)に重要となってくる場合があります。

商号は同一の商号がないかの確認が必要です。本店所在地も記載内容により本店が移転するたびに定款変更をしないといけないときもあります。

取締役の任期もそれ次第で重任(任期満了による退任→就任(株主総会での再選))の登記をするペースが変わってきます。

このように、定款を作成することは、非常にテクニカルな面を有し、思っているほど簡単ではありません。

確かに、近時は定款のひな型がインターネットでも簡単に取得できますし、専門家も利用しています。

しかしながら、特に目的は事業により様々なうえ、事業活動も変わっていくことからある程度先のことまで見越して作る必要があります(そうでないと度々目的変更をしないといけなくなります)。また、組織形態も多種多様です。

したがって、そのままひな型を使えるわけではなく、会社ごとにアレンジをする必要があり、まさにアレンジ力が要求されます。

だからこそ、専門家(行政書士・司法書士等)に任せる方が良いと言われる由縁であり、私たち専門家にとっても定款の作成はその力量が問われます。

当職が良く利用する梅田公証役場

4.つぎに、公証人から定款の認証を受けるには、紙認証電子認証の2種類があります。公証人による定款認証の手数料は5万円です(謄本等それ以外に2000円ほど掛かります)。

のみならず、紙認証の場合は課税文書であるため、定款に印紙を添付しなければなりません。この印紙代が4万円掛かります。

電子定款の場合は、電子データに認証するため課税文書に該たらず、印紙代が不要となります。

この印紙代を削減するために、現在では電子定款が盛んに用いられています。

但し、電子定款を行うためには電子署名をする必要があり、そのための環境やソフト(例えば、Adobe Acrobat DC等)が必要です。もちろん、電子申請をするためのソフトも必要です(申請用総合ソフト)。ご自身で定款を作成、認証する場合はこの点が少しハードルとなります。

今年、当職が行った電子定款認証

これに対して、私たち専門家が定款認証を行う場合は、電子定款がほとんどです。

また、定款認証後に定款の作成ミスが発見されますと再度定款認証をし直さなければならず、その際は再度手数料を支払なければなりません

この点でも、専門家に任せる方が良いと言われる由縁です。

なお、2018年11月30日から定款認証の際には、実質的支配者が誰であるかの申告を行わなければならなくなりました(電子申告可)も必須となりました。

5.認証を受けた定款に加え、設立登記に必要な書類を作成しなければなりません。

登記申請書作成及び登記申請は本人でもできますが、依頼するのであれば、司法書士ということになります(弁護士もできますが登記申請を扱う弁護士はごく僅かです)。

それ以外の添付書類(例えば、取締役就任承諾書等)の作成は行政書士もできます。また、書類により発起人の実印を押すか、会社実印(登録予定印)を押すか異なります。

良い司法書士をご自身で見つけるのは、知り合いがいない限り、簡単ではないかもしれません。

当事務所では提携司法書士に登記申請を依頼いたします

6.登記が完了すれば、登記申請をした日付で株式会社が設立されたことになります。登記が完了した日ではありません(登記が完了したとは謄本が取得できるということです)。

法人成りをして事業を始める場合、縁起を担いで設立日を決められる方が多いです。設立日を何時にするかを考えて登記申請をしなければなりません。

むしろ、重要なのは、設立日から逆算して準備をする必要があります。

この点、ご自身で設立日を決めて設立の準備しても、定款の作成に思いのほか手間取り、定款認証に時間が掛かることで、当初に決めた設立日を過ぎてしまうこともあります。

一旦逃すと、例えば、縁起を担いで大安の日を設立日すると、次の大安まで待たなければなりませんし、次が土日祝なら法務局は休みですので、さらにその次を待たなければなりません。

そうならないためにも、専門家に任せた方が良いのではないでしょうか。

株式会社設立のことなら当事務所にご連絡ください。