1.建設業法の規定により許可(業種を問わない)を受けた建設業者が、電気工事業(自家用電気工作物のみに係る電気工事業を除く)を開始した場合は、経済産業大臣ないし産業保安監督部長または都道府県知事に対して電気工事業者の登録の届出を行わなければなりません。

 すなわち、電気工事業の建設業許可を有する者(法人、個人事業主を問わず)だけではなく、電気工事業の許可を有していなくても、それ以外の建設業の許可を取得した者が、一般用電気工作物又は一般用電気工作物及び自家用電気工作物に係る電気工事を行う場合は、遅滞なく、みなし登録の届出を行わなければなりません。 

 登録の届出は、登録申請と異なり、実質審査を伴わないので(もっとも、書類の不備があれば補正を求められます)、届出を行えば登録電気工事業者とみなされます(電気工事業法34条1項・2項)。

 この登録の届出を行った者(法人、個人事業主を問わず)を、みなし登録電気工事業者といい、また、みなし登録の届出のことを、みなし登録と一般的に呼んだりします。

2.みなし登録の場合も、登録電気工事業の場合と同様、主任電気工事士を置かなければなりません。この主任電気工事士は、建設業の電気工事業許可の専任技術者と同一の者でなくても構いません。

 ただし、主任電気工事士は、第一種電気工事士又は第二種電気工事士の免状交付日以後3年間の実務経験を有する者でなければならない点は、登録電気工事業者と同じです。

 そのため、ここでも、電気工事施工管理技士等の資格では主任電気工事士にはなれません。すなわち、電気施工管理技士しかいない電気工事の許可業者はみなし登録を行うことができません。

 また、第二種電気工事士の実務経験については、登録電気工事業の場合と同じです。従って、軽微な工事では実務経験として認められません。

 そのため、専任技術者として認められるための実務経験の範囲が異なります。すなわち、専任技術者の実務経験では軽微な工事が認められるのに対して、みなし登録の実務経験では軽微な工事が認められません

 この点がみなし登録を行うことの難しさであります。

3.みなし登録の場合は登録電気工事業と異なり、手数料は不要です。届出に過ぎないからです。

 また、更新期間もないので、その手続も不要です。但し、建設業の電気工事業許可の更新が行われれば、みなし登録の変更届を提出しなければなりません。

 もっとも、建設業許可に関する一定の変更事項が生じ、変更届を提出すれば、みなし登録であっても変更届を提出しなければなりません。

 さらに、建設業の電気工事業許可を廃業した場合は、みなし登録の廃業届を提出しなければなりません。

 このように、みなし登録電気工事業も少し細かい点がありますので(何が軽微な工事なのかや建設業許可の業種を問わずに届け出なければならない等)、建設業の電気工事許可に詳しいだけでなく、みなし登録にも詳しい行政書士に任せる方が無難でしょう。

 みなし登録電気工事業の届出は、経験豊富な当事務所にお任せください。