写真は大阪府電気工事工業組合本部が入る大阪府電気工事技術会館

1.電気工事業には登録通知、届出(みなし登録)という申請方法があります。これは電気工事業法(電気工事の業務の適正化に関する法律)に基づいて行われるものです。

電気工事業法は電気工事業を営む者の登録等及その業務を規制することにより、その業務の適正な実施を確保さし、もって一般用電気工作物及び自家用電気工作物の保安の確保に資する目的としています(電気工事業法1条)。

2.まず、登録については、電気工事を行う事業(電気工事業)を始める場合に申請をしなければならないものです。

つぎに、通知については、自家用電気工作物のみに係る電気工事業を行う場合に申請をしなければならないものです。

さらに、みなし登録については、建設業許可(業種を問わないので、必ずしも電気工事業許可を有しているとは限らない)を有する者が電気工事業を始める場合に申請をしなければならないものです。なお、建設業許可を有する者(業種を問わない)が自家用電気工作物のみに係る電気工事業を始める場合にはみなし通知の申請をしなければなりません。

こう聞けば、一般用電気工作物や自家用工作物が何のことか分からないので、ややこしく聞こえるかもしれません。

また、電気工事業に関する建設業許可を有する者が電気工事業を始めるとはどういうこと?となりますね。

これは建設業法と電気工事業法という異なる法律があることと、両方の法律で電気工事業に該当する工事が少し異なるため(平たく言うと電気工事の範囲が異なるため)、話がややこしくなっているのです。

3.電気工事業法で定める電気工事とは、電気工事士法2条3項で定める一般用電気工作物又は自家電気用工作物を設置し、又は変更をする工事をいいます。但し、家庭用電気機械器具の販売に付随する工事は除かれます(電気工事業法2条1項但書)。

※一般用電気工作物の定義については、電気工事士法2条1項により、電気事業法38条1項に規定する一般用電気工作物をいうとしています。

自家用電気工作物の定義については、電気工事士法2条2項により、電気工事業法38条4項に規定する自家用電気工作物に設置する電気工作物をいうとしています。

大阪府危機管理室消防保安課が作成しています電気工事業の申請手引P4によると

一般用電気工作物とは、

  • 他から600V以下の電圧で受電し、その受電の場所と同一の構内においてその受電した電気を使用するもので、受電のための引込線以外の電線路によって構外にある他の電気工作物と電気的に接続されていないものです。
  • 構内に設置する小出力発電設備で、発電に係る電気を600V以下の電圧で他の者が、その構内において受電するための電線路以外の電線路によって構外にある他の電気工作物と電気的に接続されていないものです。

自家用電気工作物とは、電気事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物となります。

平たく言うと、一般用電気工作物とは、一般家庭や小規模な店舗、事業所の屋内配電設備等をいい、自家用電気工作物はとは、大規模マンションやビル、工場等の需要設備等をいいます。

これに対して、建設業法で定める電気工事は、発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事をいいます(昭和47年3月8日建設省告示第350号)。

こうしてみると建設業法で定める電気工事の方が大きな工事のよう見え、電気工事の範囲としては電気工事士法で定める電気工事の方が広く見えますね。

しかし、電気工事士法で定める電気工事には軽微な工事はこれに含まれないことから、実際は建設業法で定める電気工事の方が範囲は広いのです。

これが後々のミソとなってくるのです。

4.では、登録、通知、届出(みなし登録)の申請は誰に対して行うのでしょうか。

電気工事の施工の管理を行う営業所(本店、支店、出張所等の名称にかかわらず)が一の都道府県の区域のみに設置する場合は、都道府県知事宛てに提出します。

二以上の都道府県の区域に営業所がある場合で、一の産業保安監督部内のときは、産業保安監督部長宛に、二以上の産業保安監督部の区域にまたがるときは、経済産業大臣宛てに提出します。この点が、建設業の知事許可と大臣許可の場合と異なります。

別の項目で登録電気工事業とみなし登録について見ていきましょう(通知・みなし通知は自家用電気工作物のみを扱うことから、やや特殊なのでここでは触れません。当事務所へ直接お問い合わせください)。