建設業押印の見直しについて(その1)
昨年末に政府は役所に提出する申請・届出書類についての脱ハンコ方針により、押印の見直しが検討されました。
その結果、建設業法施行規則、建設機械抵当法施行規則、解体工事業に係る登録等に関する省令の一部改正が行われました。
これに伴い、大阪府でも、当然、令和3年1月4日以降、国が定める省令様式については押印が不要となりました。
これに対して、大阪府は、大阪府が定める規則様式については押印が必要のままの取り扱いとしています。
どの書類が、国が定める省令様式で、大阪府が定める規則様式かについては、建設業を扱う行政書士でも知らない方は意外と多いようです。
挙句には、申請・届出会社から行政書士に委任する委任状についてまでも押印が不要と勘違いをしている行政書士も残念ながら少なからずいてます。
普段、自分が代行・代理して行う申請・届出がどの法律・政令・施行規則に基づいているのかを意識しているか、していないかの差ではないでしょうか。また、自己の代理権をどのように証明するのかを意識しているかの差ではないでしょうか。
さて、何が国の定める省令様式で、何が大阪府の定める省令様式については、許可申請に係る書類は省令様式です。
また、経営事項審査の申請書も国が定める省令様式です。
したがって、許可申請者の調書(省令様式12号)も押印が不要となります。
この許可申請者の調書、いわゆる、通称12号調書は許可申請者、つまり、取締役の氏名、生年月日に関する調書で、取締役の個人印を押します。この個人印も不要となります。
また、常勤役員等(経営業務の管理責任者)の略歴書(省令様式7号別紙)、通称7号別紙も従来は経営業務の管理責任者が個人印を押していましたが、この押印も不要です。
同じことは7号の2の別紙も同様です。
この点、大阪府のHPには押印不要の書類として7号別紙や7号の2別紙が記載されていません。
そのため、7号別紙は押印がいるのではと考えられる方もおられるでしょう。
しかしながら、下記様式に係ると記載されています。この「係る」というのが、7号のみならず7号別紙も意味することになります。つまり、様式7号に係るとは7号だけではなくその別紙も含むという意味になります。
そのため、7号別紙や7号の2別紙は挙げられていないのです。
中々、分かりにくいものですね。
これに対して、大阪府が定める規則様式で一番よく使われている書類は、決算変更届の変更届出書です。
また、許可の証明願いも大阪が定める規則様式です。
他にも、経営事項審査の申請書以外の適正証明などの押印書類もそうです。
これらについては押印が必要です。
もっとも、押印の見直しの検討が大阪府でもなされれば、国に倣って押印が廃止される可能性はあります。
ただ、大阪府では令和2年10月1日建設業改正に対応した手引きがまだ出ていません。おそらく、建設業許可に携わる職員は相当忙しいのでしょう。
そのため、押印の見直しがなされているのか、それがいつになるかは、現時点では分かりません。
ところで、国が定める省令様式については、国土交通省のHPからダウンロードできるのですが、見てみますと既に「印」という文字はありません。
これに対して、地方整備局や各自治体レベルではというと、近畿地方整備局や東京都のHPからダウンロードできる申請書には省令様式から「印」という字は省かれていますが、大阪府や兵庫県のHPからダウンロードできる省令様式には、令和3年2月27日現在、「印」という文字があります。
本来、国の省令様式が変わった以上、同日付けか直ぐに同じ書式でないと、何のための国の定める省令様式なのかという気もします。
言い方はきついかもしれませんが、大阪府や兵庫県は国の省令に従っていないことになってしまっています。
確かに、建設業に従事している職員が少ないのかもしれませんが(他の自治体と比較して多いのか少ないのかについて、私は知りませんが)、早急の対応が望まれます。