10月1日に建設業法改正に伴い建設業法施行規則も改正されました(その2)。
10月1日に建設業法が改正されました。それに伴い、建設業法施行規則も改正されました。
従来の建設業許可要件として、建設業法7条1号イで、経営業務の管理責任の存在が要件とされていました。
今回の改正では、同法7条1号で、建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国道交通省令で定める基準に適合する者であること、とされました。
これを受けて、今回の施行規則の改正では、経営業務の管理責任者が必須とはせずに、「経営業務の管理責任者」から「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」と変わりました。
この「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」とは、①常勤役員等の体制が一定の条件を満たし適正な経営能力を有すること、②適切な社会保険に加入していること、を指します。
前回は、①について説明しましたので、今回は、②について説明します。
以前から法人及び従業員5人以上いる個人事業主について、社会保険の加入が義務付けられていましたが、それでも加入率は上がらずに今回の改正で要件化するに至りました。
個人的には、端的に許可取得要件として適切な社会保険の加入を別個独立に掲げればよく、何も「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」の中に含めなくても良いと思うのですが、今回の改正で「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」の一つとして含まれることになりました。
それだけ、厳しくしたということです。
また、それに伴い、社会保険の加入状況の様式番号も20号の3から7号の3に代わりました。
具体的な手続きで見ていきましょう。
大阪府知事許可においては、新規許可申請、業種追加許可申請、更新許可申請などにおいて、7号の3を提出する際は、従来確認資料とされていたものが添付書類となりました。
のみならず、従来は確認資料として認められていた健康保険・厚生年金被保険者資格取得届や雇用保険被保険者資格取得等通知書、雇用保険適用事業所設置届事業主届は添付書類として認められなくなりました。
その結果、納入通知書、納付書・領収書の写し、健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し、労働保険概算・確定保険料申告書及び領収書の写し等に限られました。
上記との違いが分かりますか?
上記の書類は、健康保険、厚生年金、雇用保険の申込書みたいなものなので、それだけでは健康保険、厚生年金、雇用保険の番号は確認できないのです。
すなわち、本当に入ったのか確認できないのです。
そのため、建設業の許可を取るために健康保険・厚生年金被保険者資格取得届、雇用保険適用事業所設置届事業主届を提出して、許可申請後に取り下げるというようなケースが少なからずあったようです。
こういった事情からもそれぞれの番号が確実に確認できる書類の提出を求めるようになったのです。
これは大阪府知事許可だけではなく、他府県や大臣許可でも大体同じのようです。
問題はこのような取扱いになったことにより許可申請手続にどのような影響が出るかです。
新規で法人を設立した場合、従来は設立登記簿謄本が上がればすぐに許可申請できたのですが、今後は健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し、労働保険概算・確定保険料申告書及び領収書の写しがないと申請できなくなりました(仮に申請できたとしても、上記の書類の提出がない限り審査がストップします。その結果、標準処理期間30日間で許可が出ることはありません)。
健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書は手続きをしてから出るまで大体2週間くらいかかると言われています。
従来に比べたら、2週間申請が遅れることになります。申請者にとっては酷とも思えますが、許可要件になったということは、こうことまで意味するのです。
許可要件というのはそれだけ重いということです(この点を理解していない方は多いです)。
裏を返せば、建設業許可業者の信頼性は高まることになるでしょう。
建設業許可申請のことなら当事務所に。